危険を知ればみんな逃げる 福島第一原発事故後 人々はどこに逃げたか

2011/4から2012/5までの14ヶ月間の社会増減合計の人口に対する割合。

(転出の合計-転入の合計)÷最近8ヶ月の人口の平均

福島第一原発事故後の松戸市福島市の人口移動の状況を見ると、約1年ほどの間に転出が増え、その後減少している。東日本全体で同じような動きがあったと推定されることから、小選挙区ごとに社会増減の状況を見た。

次の二つのグラフは、その結果を示したもので、黄色が転出超過小選挙区の人口に対する流出率を示す。宮城5区石巻市などの流出率が高くなっているが、これは津波被害が主因と見られる、隣の登米市、気仙沼市など宮城6区の流出率も高くなっている。宮城県の南に位置し、福島県に隣接する宮城3区も流出超過だが、流出率は低い。これらの地域の流出先は、主として仙台市と見られ、仙台市の青葉区など宮城1区の流入率は2.5%近くなっている。ただ、最近に至って、宮城県は全体的に自然増減が悪化しており、このまま推移すると、全国でも人口減少面で上位に経つ可能性がある。

福島県は、全小選挙区で流出超過。流出率は2.5%程度でそれほど高くない。しかし、福島県内の常住人口は正確さを欠く懸念がある。避難者がどこにどれだけいて住民登録と実際の生活の本拠とが異なる人がどれだけいるか、不明だ。2015/10の国勢調査の結果で実態との齟齬は修正されるだろうからそれまでは不確実さがぬぐいきれない。

茨城県は、つくば市など茨城6区を除いて流出超過。福島第一原発事故直後に月間死亡数が年間のピークをつけた市町村も多い。

千葉県は、13の小選挙区のうち、7つで流出超過、6つで流入超過。市川市、松戸市、柏市などで流出率が高いが、これらと汚染状況では同じと見られる流山市など千葉7区、鎌ヶ谷市など千葉13区は流入超過となっており、新線開発効果が大きいことが分かる。柏市も、住宅開発に伴う人口流入が大きいと見られる。

栃木県は、栃木2区、3区で流出率が大きく、宇都宮市など栃木1区は流入超過となっている。宇都宮市については、米国による土壌調査でβ線源が多いことが判明している。

東京都では、青梅市など25区、葛飾区など17区、東村山市など20区が小幅な流出超過となっているが、他は流入超過となっており、東日本からの避難者が流入したことが分かる。東京都の人口動態の指標が悪化しなかったのは流入率が高かったためで、千葉県の流山市などに比べても格段に高い。

 

だが、その効果も最近は急速に落ちており、仙台市、流山市、東京都下の都市でも指数の悪化がはっきりしてきている。

神奈川県は、当初避難先として評価が高かったようだ。18の小選挙区のうち14で流入超過となっている。しかし、神奈川県全体としての人口自然増の指数は他の関東諸県に比べても芳しいものではなく、最近は川崎市などの指数悪化が見えてきた。

 

危険を知れば、誰しも逃げる。学校が、仕事が・・・避難しない理由はいくらでも見つかる。足かせは自分自身だ。