松戸市では近い将来脱出ラッシュが再来するだろう

2014/12/10、松戸市の最新の人口動態が公表された。2014/11月分出生数は前年同月比大幅減で、過去71ヶ月で少ないほうから3番目、死亡数は多いほうから6番目となり、ともに例年の11月には見られない水準。

次の図は、松戸市の2009/1以降の人口動態統計を用いて、出生、死亡、転入、転出数の12ヶ月移動平均を計算したものだ。

青が出生数、桃色が死亡数、黄色が転入数、赤が転出数。

一目見て転出数が大きく変動していることが分かる。12ヶ月移動平均で2012/5月がピークだから富士山型の分布なら月別の実数では5ヶ月前ころ、つまり2011/12ころが最も多かっただろう。 だが転入転出数は年度末と年度初めに集中するから2012/3が3,913人、2012/4が2,713人、2011/12が2,128人となっている。2012/5と2011/8は、2011/12に並ぶ水準になっている。
 
福島第一原発事故直後は、汚染状況は分からなかったが、松戸市民の感度は高く、2011/8には脱出が始まり、その後ハイペースで続いている。様子見期間は4ヶ月ほどで、動きは速かったといえるだろう。

しかし、脱出した市民は限定的といわざるを得ない。脱出ラッシュは福島第一原発事故後1年と少ししか続かなかった。最近1年間の動きを見ると転出者は福島第一原発事故前を下回り、転入者が増加傾向にある。⑤ 福島第一原発事故後3年近く続いた転出超過が転入超過に転じたことは注目される。ヨウ素やセシウムが減衰して安全と判断した人が多くなったのだろうか。

コメントを寄せてくれた松戸市在住の読者は、屋内で0.18μSv/hと書いておられたから、筆者にすれば速攻避難すべき場所に当たる。転入数が増えているのは、住民流出が不動産価格や賃貸価格に影響し、それをメリットとする比較的短期の居住者が増えているためではなかろうか。

次に出生数と死亡数の動きを見ると、松戸市では福島第一原発事故前から出生数減、死亡数増の傾向が始まっており、死亡数の増加ペースは速くなっていた。福島第一原発事故後、死亡数は少し増加を見せたが福島第一原発事故前よりも緩やかなペースだった。一方、出生数は1年近くほぼ横ばいで推移した後、するすると下がり、2年を経過した頃から少し持ち直して1年前頃からなだらかな低下傾向を示している。

2013年に出生数が堅調に推移した地域はほかにもあり、その原因はよく分からない。特に健康被害に見舞われなかった人が大丈夫じゃないかと子作りに励んだためとも考えられるが、仮にそうだとすると、の減少傾向は別の意味を持つ。女性の側、あるいは家族の中に健康を害した人がいて、子作りの意欲が阻害されている可能性だ。

上の可能性は、ここ1年弱死亡数が増加傾向を辿っていることとも符合する。 ならば、転出数が増えても良さそうなのにむしろ減っている。住宅などの不動産の処分が難しくなっているとしてもそれだけの理由ではないだろう。

左軸が転入転出、右軸が出生死亡。ともに単位人。松戸市の人口は約48万人。

2014年04月25日 関東で脱出パニックは起こるか? 静かに死んでいく人が多いのではなかろうか に書いた筆者の想像では、上のグラフを例に取れば、赤い線(転出)は低迷し、黄色い線(転入)が高めに推移し、青い線(出生)は低下傾向を強め、桃色(死亡)は跳ね上がる。

チェルノブイリの先例からして、桃色が跳ね上がり、青い線が低下傾向を示すのは間違いないが、赤い線は低位で推移するだろうか。賃貸住宅の入居者が、近所で野辺の送りの途切れる日がないと知ったら、一人アパートの一室で心穏やかな夜を過ごせるだろうか。

筆者は無理だと思う。最近コメントを寄せてくれた松戸市在住の男性は、保養目的でもあったろう京都観光で高い空間線量率を測定して教えてくれた。この方の場合、空間線量率測定が三度の食事と同じような日常的な行為になっておられるのだと思うし、そういう方は少なくないのではなかろうか。

松戸市の読者には、ぜひ早く逃げてくださいと申し上げたい。

松戸市に関しては、一つの小学校で白血病を発症した児童が3人もいる例があると伝えられた。松戸市が希望者を対象に行った甲状腺検査の結果も心配だ。 

すでに濃厚汚染地帯の健康被害が深刻なことは、疑う余地がない。松戸市をはじめ東葛飾などの濃厚汚染地帯では、福島第一原発事故後1年間の脱出ラッシュを上回る避難の動きが一日も早く来て欲しいと思う。ただ、そのためには、多くの人が嫌でも見聞きする形で健康被害が深刻化することが必要なのだろう。健康被害の多発、深刻化は来て欲しくないし、脱出ラッシュは早く来て欲しいし、どうしたら良いものだろう。

 

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