主要核種簡易分析法 都県設置のMP観測値や学校の定期的な観測値の動きから推定される核種構成
地域のどこかで定期的に空間線量率を測定した記録があれば、累積被曝量の推定がつくし、核種構成の違いも推定できることに気付いて、少しデータを集めたが、松戸市、古河市、大和市の3者ではあまりに空間線量率水準が違いすぎて戸惑っている。
濃厚沈着地帯では、そうでない地帯に比べて外部被曝量は多くなるし、作物経由の放射性物質体内取込も多くなるから健康被害が深刻化すると考えられるが、これまでのところ必ずしも差ははっきりしていない。
下に掲げた神奈川県大和市の中学校で2011/7~8に測定した空間線量率は、0.06μSv/h前後で福島第一原発事故前とそれほど大きな差があるとは思えない。
一方、古河市第六小学校の空間線量率は2011/7~8で0.09μSv/h程度あり、さらに松戸市新松戸西小学校では0.3μSv/h程度あった。
これらの測定値を用いて累積被曝量を試算すると、新松戸西小学校では他の地域と均衡する値が得られるが、古河市では他より大幅に少ない値となり、大和市では明らかに過少といわざるを得ない値となった。
言うまでもなく、これまでのところは、初期吸気被曝が健康障害の発現に大きく影響していると見られるが、今のところはそうだとして、ではこの先はどうなるかという点では考え込まざるを得ない。
濃厚沈着地帯は、プルーム襲来時に降雨があったところがほとんどで、降雨が人々を家に閉じ込め、濃厚なプルームが来ても屋外にいる場合に比べて吸気被曝が大きく減じられたと言うことはある。
大和市の中学校の例のように空間線量率が低ければ、初期吸気被曝がなければそれほど広範、深刻な健康被害が出るとは思えない。
要因は何だろう。
① 初期吸気被曝が尾を引いている。
② 飲食物による放射性物質の経口摂取
③ ガンマ線源以外の放射性物質の沈着
一方、東葛飾などの濃厚沈着地帯は、ここに来て人口動態の悪化がよりはっきりしてきたように見える。松戸と古河の比較では、古河は当初相対的に悪化が少なかったが松戸に先行して悪化がはっきりしてきた。
米国国防総省による被曝量推定値では、仙台に次いで小山が多い。古河市は小山より南でプルームの滞留時間もより長かったと見られるのだが。
千葉県松戸市新松戸西小学校。下にある2.99μSv/h測定地点に近い。
茨城県古河市第六小学校
神奈川県大和市内の中学校の平均
茨城県北茨城市中郷第一小学校
上の作業を通じて、 空間線量率は、セシウム134、セシウム137、ヨウ素131、テルル129mでほぼ規定されることを確認。次のグラフから、宇都宮市、水戸市はヨウ素131の寄与が相対的に大きく、さいたま市、新宿、市原市はヨウ素の寄与が相対的に小さいことがわかる。